立法院(国会)は18日、所得税法の一部改正案を可決した。総統の発布を受け、2018年1月1日に遡って施行される。つまり、新税制は2018年度からが対象となり、2019年5月の確定申告から適用される。
財政部によると、今回の税制改革は租税の平等、経済効率、税制の簡素化、財政収入の4つの方面を考慮して制定された。主な内容とその影響などは以下の通り。
(1)個人総合所得の標準控除額を従来の9万台湾元(約34万日本円)から12万台湾元(約45万日本円)に引き上げる(配偶者がいる場合はこの2倍)。給与所得特別控除額と障害者特別控除額を、従来の12万8,000台湾元(約48万日本円)から20万台湾元(約75万日本円)に引き上げる。引き上げ幅は33~56%となり、542万世帯がその恩恵を被ることになる。また、幼児就学前特別控除額が子ども1人当たり2.5万台湾元(約9.4万日本円)から12万台湾元(約45万日本円)へと大幅に引き上げられる。これに免税額1人当たり8.8万台湾元(約33万日本円)を加えると、つまり社会人1人の世帯であれば年収40万8,000台湾元(月給3万台湾元以下)、夫婦共働き世帯であれば合計年収81.6万台湾元、夫婦共働きで就学前児童2人を持つ世帯であれば合計年収123.2万台湾元まで所得税が免除されることになる。
(2)個人総合所得税(=所得税)の最高税率が40%に引き下げられる。課税所得が1,000万台湾元(約3,770万日本円)を超える部分に税率45%が適用されていたが、この規定が削除された。
(3)個人株主の所得税の計算方法が以下の2つから選べるようになった。
1.配当利益を個人総合所得に加え、配当の8.5%を納税額から差し引く。確定申告を行う1世帯当たり、8万台湾元(約30万日本円)を上限とする。通年の配当利益が約94万台湾元(約354万日本円)以下の場合に適している。
2.配当利益に一律28%を課税して納税額を算出。その他の個人総合所得から算出された納税額と足す。
(4)営利事業所得税率(=法人税率)を17%から20%に引き上げる。課税所得額が50万台湾元(約188万日本円)に満たない場合は、例えば2018年は18%、2019年は19%、2020年以降は20%と年度ごとに調整することができる。このほか、営利事業の未処分利益課税率を従来の10%から5%に引き下げる。外資による配当利益への源泉徴収税率を、従来の20%から21%に引き上げる。
(5)法人格を有しない独資もしくはパートナーシップ事業には営利事業所得税を課さず、出資者の個人総合所得税として課す。
(6)「両税合一」制度の見なし控除制度の取消し。営利事業による株主のみなし控除通帳の作成、関連の記載、計算、罰則などに関する規定が削除された。
今回の税制改革で、税収入が約198億台湾元(約745億日本円)減少する見込み。但し、投資環境の改善で雇用の創出を促進し、国民所得が増加すれば、税収につながり、台湾の住民善人が税制改革による効果と利益を享受できると期待されている。